この記事では、「移動平均線」と「ゴールデンクロス」「デッドクロス」について、以下のような悩みや疑問に応えられるよう実例を交えて説明しています。
- 移動平均線の種類があり過ぎてどれを選んでいいのか分からない
- 移動平均線の期間をいくつに設定すればいいか分からない
- 移動平均線を利用して相場の方向性などを判断したい
- 「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」の定義がよく分からない
移動平均線の種類
「移動平均線」とは、過去一定期間の終値の平均を算出し、それを線で結んだものになります。
上昇トレンドの時は「移動平均線」が上を向き、下降トレンドの時は「移動平均線」が下を向きます。
「移動平均線」には様々な種類があり、どれを使うのが正解ということはありませんが、一般的に使わることが多いのは以下の2種類です。
- 単純移動平均線(SMA)
- 指数移動平均線(EMA)
単純移動平均線(SMA)
最もポピュラーな「移動平均線」です。過去一定期間の終値から均等に平均値を算出したものになります。
通常「移動平均線」というと、この「単純移動平均線」のことを指します。
指数移動平均線(EMA)
「単純移動平均線」に比べ、直近のデータに比重を重く置いて平均を算出したものになります。
直近のデータが重要視される分、「単純移動平均線」に比べ、「指数移動平均線」の方が値動きに対する反応が早くなりますが、その分だましの動きも多くなります。
移動平均線の期間
「移動平均線」の期間とは、過去何本分のローソク足の終値データの平均を算出するかの数になります。
つまり、期間が5なら過去5本分のローソク足の終値の平均を表し、20なら過去20本分のローソク足の終値の平均を表します。
そして、その期間により短期、中期、長期と分けて使われることが多いです。
設定期間
設定数値
それでは、この設定期間はいくつにするのがいいのでしょうか?
設定期間は5、7、8、10、13、15、20、21、25、50、75、100、200など、これ以外でも様々な数字が取り上げられています。
これらの数字は、元々は営業日数と関係していると一般的には言われています。
例えば日足で表示させるのであれば、1週間の営業日が5日、1か月の営業日が20日であることから5や20といった数字が出てきています。
また、かつては土曜日も株の取引が行われていたことから、1か月分の営業日数が25、2か月分の営業日数が50、3か月分の営業日数が75となります。
また、週足で表示させるのであれば、1年が52週ですので、その半分の26や4分の1の13など、どの足を使って表示させるのかなどによっても言われている数値が変わってくるため、このように様々な期間が出回っています。
FXにおいては、もう少し短い時間足も使いますので、上記の理論から考えると、1時間足であれば半日の12や1日分の24などの期間が考えられますが、これについては一般的に用いられている5や20、25などでいいかと思います。
よく使われている数値を用いて、その数値で表示させた移動平均線を補助的に使う程度にして、あまり考えすぎる必要はありません。
大切なのは相場背景の環境認識や水平線などの意識される縦軸のポイントになりますので、移動平均線の設定期間が20ならいいけど21ならダメということもありませんし、自分がやりやすい数値でいいと思います。
短期・中期・長期
「移動平均線」は設定期間により、短期、中期、長期と分けられ、その中から2本または3本表示させて使われることが多いです。
短期、中期、長期の線引きも厳密なものはありません。
例えば短期に5を使う場合は、短期5、中期20や21や25、長期50や75などになりますし、短期を20とする場合は、短期20、中期50や75、長期100や200などどなります。
このあたりの組み合わせが一般的に利用されていますので、自分で好きな組み合わせを見つけて利用すれば大丈夫です。
ゴールデンクロスとデッドクロス
それでは、この移動平均線を使ってどのようにトレードに生かすかと言うと、一番メジャーなのが「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」と言われるものです。
「ゴールデンクロス」、「デッドクロス」とは?
「ゴールデンクロス」は買いシグナルとなります。
長期移動平均線が横ばいから上向きの時に、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けたときが「ゴールデンクロス」となります。
「デッドクロス」は反対に売りシグナルとなります。
長期移動平均線が横ばいから下向きの時に、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けたときが「デッドクロス」となります。
しかし、これらのサインにはダマシもありますので、この「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」だけでエントリーするのではなく、他のサインも合わせて補助的に使うのがお勧めです。
以下の「グランビルの法則」についての記事も読むと、より理解が深まるかと思います。
実際のチャートで見てみよう
それでは、実際のチャートで「ゴールデンクロス」「デッドクロス」を確認してみましょう。
Aの〇印で短期移動平均線、中期移動平均線が横向きの長期移動平均線を下から上に勢いよく突き抜け「ゴールデンクロス」となっています。
Bの〇印は短期移動平均線と中期移動平均線が長期移動平均線を下抜けていますが、長期移動平均線が上向きのため、不完全なデッドクロスとなっています。
Cの〇印は既に上向きの長期移動平均線を短期移動平均線、中期移動平均線が再度上抜いてきています。
このように、長期移動平均線の向きと短期移動平均線、中期移動平均線の突き抜け方の勢いなども見ながらグランビルの法則も当てはめてみると更に分かりやすいかと思います。
まとめ
移動平均線についてまとめると以下のようになります。
- 移動平均線とは過去の一定期間のローソク足の終値の平均を線にしたものである
- 移動平均線でよく用いられるのはSMAとEMAである
- 移動平均線は短期、中期、長期を組み合わせて使う
- 「ゴールデンクロス」「デッドクロス」で買いシグナル、売りシグナルを知ることができる
- 「ゴールデンクロス」「デッドクロス」は、だましも多いので単独で用いずに補助的に使うのがおすすめ
皆さんも実際のチャートで様々な期間の移動平均線を表示させてみて、「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」を探してみてください。
他のインジケーターについても、以下の記事で説明していますので、ご参考ください。