トレンドフォローのトレードをしていて、水平線も移動平均線も何もない所から反応してトレンド方向に伸びていくとき、もしかしたら「フィボナッチ・リトレースメント」が効いているかも知れません。
この記事では、「フィボナッチ・リトレースメント」について、以下のような疑問や悩みに応えられるよう使い方を説明しています。
- 水平線を根拠にエントリーしているが、自分が引いた水平線に自信が持てない
- 深い押し目を作りに来ると、どこで反転するか分からず、うまくエントリーできない
- フィボナッチを使っているが、全然機能しない
- フィボナッチ関連のツールが多く、使い方を知りたい
「フィボナッチ・リトレースメント」の基本的な使い方だけではなく、インジケーターなどと組み合わせた具体的な使い方についても説明します。
また、フィボナッチ関連の他のツールについても説明していますので、どうぞご参考ください。
【FX】「フィボナッチ・リトレースメント」の使い方
「フィボナッチ・リトレースメント」は、フィボナッチ数列を用いて押し目や戻りの候補となるラインを予測するツールです。
フィボナッチ数列とは?
FXの分析ツールで「フィボナッチ・リトレースメント」という分析ツールがありますが、これは、13世紀にイタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見した「フィボナッチ数列」を活用した分析ツールです。
フィボナッチ数列とは「1・1・2・3・5・8・13・21・34・55・89」と、それぞれの数字がその1つ前と2つ前の数字を足した数字で並べられた数列ですが、隣の数字との比率が徐々に「1:1.618」に近づいていきます。
1+1 = 2
1+2 = 3
2+3 = 5
3+5 = 8
5+8 = 13
8+13 = 21
13+21 = 34
21+34 = 55
34+55 = 89
55+89 = 144
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1:1 = 1:1
1:2 = 1:2
2:3 = 1:1.5
3:5 = 1:1.66
5:8 = 1:1.6
8:13 = 1:1.625
13:21 = 1:1.615
21:34 = 1:1.619
34:55 = 1:1.617
55:89 = 1:1.618
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このフィボナッチ数列の法則は、木の枝の分かれ方やウサギのつがいの増え方、ひまわりの種の並び方など自然界の中で見られたり、モナリザの絵やパルテノン神殿、エジプトのピラミッドなどの様々な人工物にも取り入れられており、人間が自然と美しいと感じる黄金比です。
そして、FXのチャート分析にこの黄金比を取り入れたツールで有名なものが「フィボナッチ・リトレースメント」です。
「フィボナッチ・リトレースメント」の基本
「フィボナッチ・リトレースメント」は、波の高値と安値に合わせて引くことにより、波の先端から23.6%、38.2%、50.0%、61.8%、76.4%戻る場所にラインが自動で引かれるツールで、それらのラインがサポートラインやレジスタンスラインとして機能することがあります。
76.4%のラインが表示されない場合は、設定で追加できます。
MT4の場合の追加方法を以下に記載しておきます。
「フィボナッチ・リトレースメント」の引き方
「フィボナッチ・リトレースメント」の基本的な引き方
「フィボナッチ・リトレースメント」は、波の高値と安値に合わせますが、起点となるところが100%となるように当て、波の逆側の先端が0%となるようにします。
「フィボナッチ・リトレースメント」の引き方のコツ
コツとしては、できるだけ分かりやすい波に引くことです。
波の高値・安値に絶対的な決まりはなく、どれだけ多くのトレーダーに意識されているかが重要になります。
そのため、できるだけ認識しやすい波に合わせて引く方が機能しやすくなります。
また、波の先端のヒゲに合わせて引く人もいれば、実体に合わせて引く人もいますので、その時々で意識される波のポイントは変わってきます。
この辺りは、水平線の引き方と同じで、あまり細かく考えすぎずに、大雑把に捉えて考えることも時には必要です。
注目されるライン
「フィボナッチ・リトレースメント」の中でも注目されるポイントが38.2%と61.8%です。
50%も、フィボナッチ数列とは直接的な関係ありませんが、半値戻しということで注目されやすい数値となっています。
38.2だと比較的浅い押し目、61.8までくると比較的深い押し目となります。
しかし、38.2%、61.8%のラインがあるからと言って、それだけを根拠にエントリーしても簡単に抜けていってしまうことも多いので、注意が必要です。
「フィボナッチ・リトレースメント」の使い方(応用)
「フィボナッチ・リトレースメント」は単体で用いても押し目ラインの目安とはなりますが、様々なインジケーターや水平線などと重なると、意識するトレーダーも多くなり、より強力なレジスタンスライン、サポートラインとなります。
以下に具体的な事例を3つ紹介します。
水平線との組み合わせ
まずは、「フィボナッチ・リトレースメント」と水平線が重なるラインの場合です。
下図4のように「フィボナッチ・リトレースメント」の38.2%ラインと何度もレジスタンスされ意識された水平線が重なり、結果としてそのラインが押し目となり上昇していっています。
このように、注目されやすい水平線と「フィボナッチ・リトレースメント」のラインが重なると更に意識され、機能する可能性が高くなります。
オシレーター系インジケーターとの組み合わせ
「フィボナッチ・リトレースメント」とオシレーター系インジケーターを組み合わせて押し目を拾う方法もあります。
例えば、下図5は1時間足でフィボナッチ・リトレースメントを当てていますが、水色の〇印付近で61.8%付近まで押し目を作りに来ています。
その時に、更に短期足の15分足でオシレーター系のインジケーターRSIを表示させてみると、下図6のようにRSIが30を下回り、売られ過ぎを示唆しています。
このように、フィボナッチ・リトレースメントのラインと、短い時間足のオシレーター系インジケーターが重なった時にエントリーするというのも1つの方法です。
エリオット波動理論に取り入れて使う
他には、エリオット波動論に取り入れて使う方法もあります。
例えば、下図7のようにエリオット波動で4波目の押し目を拾おうとしている時、エリオット波動の衝撃波の基本ルールとして、第1波目と第4波目は被らないというルールがありますので、この第4波目の押し目は、理論通りいけば、下がってきても38.2%辺りだろうと予想できます。
また、エリオット波動でもダイアゴナルの場合は、第4波目も深く押し目を作りますので、61.8%付近まで落ちてきてもおかしくないと予め予想できます。
このように、エリオット波動理論を理解していると、「フィボナッチ・リトレースメント」を使ってあらかじめどこまで落ちてきそうか予測しながら使うこともできます。
エリオット波動についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
フィボナッチ数列を用いたその他のツール
フィボナッチ数列を用いたツールは「フィボナッチ・リトレースメント」以外にも色々とあります。
数が多いため、今回は基本的な使い方のみご紹介します。
フィボナッチ・エクスパンション
「フィボナッチ・リトレースメント」がどこまで押し目を付けるかの目安として使われるツールに対して、「フィボナッチ・エクスパンション」は、どこまで次の波が伸びるかの利確の目安に使われます。
「フィボナッチ・エクスパンション」は3点を結びます。
上図8のように水色の〇印の波の3点に当てると、次の1波がどこまで伸びる可能性があるかを表したラインが表示されます。
上図の場合は、FE100ライン付近の水色の四角のゾーンで意識されているのが分かるかと思います。
「フィボナッチ・エクスパンション」は、ここで紹介する中では、比較的使われる頻度の高いツールで、私も利確ポイントの目安として使うこともあります。
フィボナッチ・アーク
「フィボナッチ・アーク」は「フィボナッチ・リトレースメント」に時間の概念を取り入れたものです。
下図9のように、弧を描いて表示され、ローソク足と交わるポイントで反発する可能性があるというものです。
「フィボナッチ・アーク」は、あまり使われることのないツールで、意識しているトレーダーも少ないため、こういったものもあるということを知っておく程度でいいかと思います。
フィボナッチ・タイムゾーン
「フィボナッチ・タイムゾーン」は、その名の通り、時間軸をフィボナッチで表したもので、波の転換点がいつ来るかを予測するツールです。
下図10のように安値と高値に当てるとフィボナッチ数列に準じて時間軸が表示され、そのタイミング付近で波の転換が起こっているのが分かるかと思います。
こちらも比較的マイナーなツールになり、機能しないことも多いため、使うとすればポジションの保有目安として補助的に使う程度がいいかと思います。
フィボナッチ・ファン
「フィボナッチ・ファン」は、未来のトレンドラインを予測して引いてくれるツールです。
水色の〇印の安値と高値に合わせて引くことにより、トレンドラインが3本自動で引かれているのが分かるかと思います。
結果として、水色の四角付近でラインが意識されトレンドラインとしてサポートされています。
この「フィボナッチ・ファン」も、あまりメジャーなツールではありませんので、目安として使う程度でいいかと思います。
フィボナッチ・チャネル
「フィボナッチ・チャネル」は、自動でチャネルラインを引いてくれるツールです。
下図12は水色の〇印3点に合わせて引いていますが、その外側に4本のチャネルラインが自動で引かれています。
そして、水色の四角付近でチャネルラインがレジスタンスラインとして意識されているのが分かるかと思います。
チャネルライン自体は使っている方は多いかと思いますが、「フィボナッチ・チャネル」はそれ程メジャーなツールではありませんので、こちらも利確ポイントの目安として使う程度でいいかと思います。
フィボナッチまとめ
フィボナッチについてまとめると以下の通りです。
- 「フィボナッチ・リトレースメント」はサポートラインやレジスタンスラインの候補を予測してくれるツールである
- 「フィボナッチ・リトレースメント」を引くときは、できるだけ注目される波に当てて引く
- 「フィボナッチ・リトレースメント」単体では機能しないことも多いので注意が必要
- 「フィボナッチ・リトレースメント」と他のインジケーターや水平線が重なると、より強力なラインとなる
- フィボナッチを用いたツールは他にもあるが、マイナーなものも多いため、補助的な利用で検討した方がいい
トレンドの押し目や戻りで迷ったら、いつも使っているインジケーターなどに加えて「フィボナッチ・リトレースメント」を使ってみてもいいかと思います。
以上、ご参考ください。