ランダムウォーク理論とは?FXにも当てはまるのか?

FXテクニカル分析
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ランダムウォーク理論がFXにも当てはまるなら、利益を上げることはできないのでしょうか?

  • ランダムウォーク理論って何?
  • 相場の値動きは予測できない?
  • 値動きが予測できないなら勝てる方法はないの?

「ランダムウォーク理論」とは、マーケットの値動きは予測不可能で、未来の値動きを予測して利益を上げ続けることは不可能だという立場からの理論になります。

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ランダムウォーク理論はFXにも当てはまるのか?

ランダムウォーク理論とは?

「ランダムウォーク理論」とは、株価の値動きは酔っ払いの足取りのように予測することは不可能であるとする考え方で、1900年にフランスの数学者ルイ・バシュリエにより発表された論文が基になっています。

株価の値動きには規則性がなく、どの時点においても独立した動きで、株価が上がるのも下がるのも同じ確率であるため、過去の値動きは一切参考にならないとされており、テクニカル分析で値動きを予測することを否定する内容となります。

ランダムウォーク理論が語られるときによく用いられる話として、「猿のダーツ投げ」というものがあります。

猿が株式銘柄の一覧が載った新聞欄に向かってダーツ投げをして刺さった銘柄で構成するポートフォリオと、相場のプロが組んだポートフォリオでは、運用成績に差があまりみられないうものです。

つまり、株価の値動きは予測不能なため、専門家の予測や分析は意味をなさないという事になります。

効率的市場仮説

市場がランダムウォークとなる理由の1つとして、1970年に発表されたシカゴ大学の教授であるユージン・ファーマの論文「Fama」で述べられている「効率的市場仮説(EMH)」という考え方が挙げられます。

効率的市場仮説では、マーケットは常に情報的に効率的であるとされ、現時点の株価は、利用可能な全ての情報が既に織り込まれており、結果的に現時点で存在する情報を基に利益を上げ続けることはできないという説になります。

効率性は、以下の3段階に分類されています。

ウィーク型

将来の価格変動は過去の価格変動から独立しており、テクニカル分析で得られる情報は既に価格に織り込まれているため、未来の価格変動を予測することが出来ないというものになり、テクニカル分析により恒常的に利益を上げ続けることはできないと結論付けるものになります。

セミストロング型

ファンダメンタル分析で得られるような公開されている全ての情報は即座に価格に反映されているため、未来の価格変動を予測することが出来ないというものになり、ファンダメンタル分析により恒常的に利益を上げ続けることはできないと結論付けるものになります。

ストロング型

公にされている情報だけでなく、内部の、いわゆるインサイダー情報でさえも既に価格に反映されているというものになります。


この効率的市場仮説については、あくまで仮説のため、立証されている訳ではなく、この数十年の間結論は出ていません。

それを象徴する出来事として、効率的市場仮説を唱えたユージン・ファーマと、効率的市場仮説と正反対の理論を論じたロバート・シラーが2013年のノーベル経済学賞を同時に受賞しています。

株式市場から見るランダムウォーク理論

ランダムウォーク理論も、効率的市場仮説も、株価を予測して利益を上げ続けることは難しいという考え方を取りつつも、経済の発展と共に市場平均が成長していく事を否定するものではありません。

企業が事業活動を行う以上、会社は発展していき、当然その情報は株価に織り込まれますので、経済が右肩上がりに成長を続ければ市場平均も右肩上がりに成長することは予測可能です。

そのため、効率的市場仮説が正しく価格の動きはランダムウォークだが、長期的に見ると経済は成長する可能性は高いと考えると、今後の値動きを決める情報は今現在はなく、価格がどちらに動くか予測することはできないが、日経平均やS&P500などの市場平均に連動して価格が決まるインデックス投資が、最も安定して利益を上げられる商品と言えるかも知れません。

もちろん、これらの理論に反対する意見もあり、長年勝ち続けいているトレーダーがいる以上、ランダムで価格が動くわけではなく、そこにはある一定の法則があるため成り立っていると考えることもできます。

しかし、近年の指数連動型ETFなどは、数々のアクティブファンドに比べても運用成績が良いことを考えると、ランダムウォーク理論はあながち間違いではなく、テクニカル分析やファンダメンタル分析だけでは予測しきれないことも確かだとは思います。

FXにおけるランダムウォーク理論

FXトレードにおいて、ランダムウォーク理論を考えるとどのようになるでしょうか?

為替相場は、2国間の為替の取引になるため、経済の発展と共に上昇トレンドになる可能性が高いという理論は成り立ちません。

強いて言えば、高金利通貨国の経済が発展すれば、その国の通貨価値が上がるので、長期的に見れば下降トレンドになる可能性は高いと考えられるかも知れません。

しかし、一般的にトレードされているドル円やユーロ円、ユーロドルなどはランダムウォーク理論が当てはまると、トレードで利益を上げ続けることは不可能という事になってしまいますが、実際には皆さんご存じの通り、FXでしっかりと利益を上げ続けているトレーダーはたくさんいます。

確かにドル円相場が1年後、1か月後、1時間後に今の価格より上にあるか、下にあるかを言い当てることは難しいと思いますが、例えば、今の地点から30pips上のA地点と30pips下のB地点、どちらに先に到達する可能性が高いかという問いに対しては、偏りがある場所は必ずあると私は考えます。

FXのテクニカル分析は、値動きの未来を予測するものではなく、事実についていくための分析になりますので、未来の価格は予測できないとするランダムウォーク理論が正しかろうが、正しくなかろうが、FXのテクニカル分析には影響がないのではないでしょうか。

ランダムウォーク理論まとめ

ランダムウォーク理論についてまとめると、以下のようになります。

  • 「ランダムウォーク理論」は、将来の値動きは予測できないという立場からの理論である
  • 「効率的市場仮説」という、現時点で世の中にある情報は全て価格に織り込まれているという考え方もある
  • テクニカル分析で値動きを予測するのではなく、事実を見極めてそれについていけば良い

少し難しい話になりましたが、ランダムウォークという理論を知っておけば、目標地点まで向かっている間のランダムな動きで逆行したとしても、慌てずに見守れるようになるかも知れません。

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