ダウ理論に比べると若干知名度が下がる「ギャン理論」ですが、投資に対する心構えについてまとめられた28のルールは、FX初心者から上級者まで役に立つ重要なルールです。
- ギャン理論はトレードに有効?
- ギャン理論はどのように使う?
- ギャン関連のチャート描画ツールについて知りたい
FX初心者の方で、これから自分のトレードルール作ろうとしている方にとって、「ギャンの価値ある28のルール」は、とても参考になるかと思いますので、是非自分のルールにも取り入れてみてください。
- ギャン理論とは?
- ギャン理論「ギャンの価値ある28のルール」とは?
- 1. 資金を10等分にし、1回のトレードで資金の10分の1以上のリスクは取らない
- 2. ストップロスは必ず設定する
- 3. 過剰な売買をしない
- 4. 含み益を損失に変えずに、トレーリングストップを活用する
- 5. トレンドに逆らったトレードはせず、トレンドが分からない時はトレードしない
- 6. 迷った時は決済し、相場から離れる
- 7. 動きのある活発な銘柄でトレードする
- 8. 分散投資をしてリスクを下げる
- 9. 注文は指値ではなく成行でする
- 10. 明確な根拠のない決済はしない
- 11. トレードで得た利益は別口座に移す
- 12. 小さな利益を狙ったトレードはしない
- 13. ナンピントレードはしない
- 14. 耐えて待ち、焦らない
- 15. 小さな利益と大きな損失は避ける
- 16. ストップロスはキャンセルしない
- 17. 頻繁に売買することは避ける
- 18. 買いだけでなく、売りから入るエントリーも有効に活用する
- 19. 高いから売る、安いから買うという理由だけのトレードはしない
- 20. 間違ったタイミングでピラミッティングを行わないように気を付け、レジスタンス、サポートを抜けてからピラミッティングする
- 21. ピラミッティングは明確なトレンドがある時だけ行う
- 22. 損失をヘッジするための両建てを行うのではなく、損切りする
- 23. 明確な根拠なくポジションの変更は行わない
- 24. 長い期間のトレードや利益が出た後は取引量を増やさない
- 25. 相場の天底を予想しようとしない
- 26. 自分よりも知識のない人のアドバイスでトレードの判断をしない
- 27. 最初の損切り後は取引量を減らし増やさない
- 28. 間違ったエントリーと決済は避けた方がいいし、正しいエントリーと間違った決済もしない
- ギャンのチャート描画ツール
- ギャン理論「ギャンの価値ある28のルール」とは?
- ギャン理論まとめ
ギャン理論とは?
ギャン理論とは、アメリカの投資家W.D.ギャン氏が提唱した理論で、「ギャンの価値ある28のルール」としてまとめられています。
内容的には、どこでも言われている事ではありますが、実際に自分が体験して身に染みてからでないと、その意味の本質的な重要性は理解できないと思いますので、定期的に見返すことをお勧めします。
ギャン理論「ギャンの価値ある28のルール」とは?
ギャンの価値ある28のルールは、基本的には株式相場について述べられたものであり、レバレッジをかけてトレードするFXに於いて全てが当てはまるとは限りませんが、投資をするに当たって、現在でも通用するルールであることは間違いありません。
トレードの具体的な手法というよりも、資金管理のことやポジションサイズ、メンタル面も含めたルールであるため、どこでエントリーするとか、どこで決済するとかを知るためのルールではありません。
1. 資金を10等分にし、1回のトレードで資金の10分の1以上のリスクは取らない
一度のトレードでリスクにさらす資金の比率が増えると、勝率やリスクリワード比率は変わらなくても、破産確立が高くなってきます。
特に、FXの場合はレバレッジをかけたトレードが出来るので、高レバレッジでトレードすると1回のトレードでリスクにさらす資金の比率が大きくなりがちなので、注意が必要です。
リスクにさらす資金比率と破産確立について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
→ 「バルサラの破産確立」とは!?FX資金管理の重要な要素3つ
2. ストップロスは必ず設定する
ポジションを保有したら、必ず損切り設定を入れるようにしましょう。
新規注文時に同時に損切り注文も出せる注文方法もありますので、それらをうまく活用するといいでしょう。
3. 過剰な売買をしない
持ち玉が増えるような過剰なトレードは、証拠金取引であるFXの場合は特に危険で、資金管理ルールに反することになりかねません。
4. 含み益を損失に変えずに、トレーリングストップを活用する
ポジションに利益が乗ってきたら、損切りラインをトレールして切り上げて、損失にならないように変更するということです。
特に、大きく含み益が出ている状態にも関わらず、トレンドが転換して含み益がなくなるどころか、損失になってしまうと、自分の気持ち的にもダメージは大きいので、含み益が出てきたら、適宜ロスカットラインは上げていくようにしましょう。
5. トレンドに逆らったトレードはせず、トレンドが分からない時はトレードしない
トレードはトレンドフォローが基本のため、環境認識をしっかりと行う必要があります。
ダウ理論などを用いて、現在の状況がトレンドかどうかを判断し、判断できない時は無理にトレードせずにチャートを閉じましょう。
6. 迷った時は決済し、相場から離れる
トレンドフォローでポジションを保有している時、トレンドの継続が疑わしい時は、一旦決済してトレードを終了しましょう。
もし再度トレンドが継続したら、改めて入り直せばいいだけです。
また、方向性がない時は無理に新規ポジションを建てずに、一旦トレードから離れた方がいいです。
トレンドフォローで利益を上げても、レンジ相場で連敗して利益を全て放出してしまうこともよくありますので、このルールを守ることは既に得た利益を守るためにも非常に重要だと思います。
7. 動きのある活発な銘柄でトレードする
これは、主に株式相場での考えですので、FXの場合は、ボラティリティの大きい時にトレードすることを心掛けておけばいいかと思います。
値幅の狭いレンジ相場でスキャルピングでトレードしても、かなり神経を使いますし、得られる利益も小さいので、値動きが小さい時は無理にトレードしないという選択も考えましょう。
8. 分散投資をしてリスクを下げる
この項目も主には株式相場についてのことで、銘柄や業種などを分けて分散投資をするということです。
FXの場合は、この通貨が伸びると思って売買する訳ではないので、あまり意識する必要はないかと思いますが、高金利通貨のスワップ狙いで1通貨に絞って大金をつぎ込むのはリスクが高いのでやめた方がいいかと思います。
投資においてリスク分散が重要なことは確かですので、例えばFXトレードするのとは別に、もう少しリスクの低い米国債券の購入やETFなどの積み立て投資などを行うのはお勧めです。
9. 注文は指値ではなく成行でする
マーケットは自分の都合で動いてくれません。
指値まで届かずにエントリーや利確ができなかったなどがないようにしたいところですが、FXは株式相場と違い24時間動いていますので、OCO注文やIFDO注文などは有効に活用すべきだと私自身は考えています。
また、損切りについては、成行だけでなく、必ず前もって注文を入れておくようにしましょう。
10. 明確な根拠のない決済はしない
多くの方は一度得た利益を失いたくないという気持ちが強く働きますので、利益が乗った後に逆行し始めるとすぐに利確したくなり、「利小損大」になりやすくなります。
エントリー同様、決済もルールを守って行うよう心がけましょう。
11. トレードで得た利益は別口座に移す
トレードで資金が増えていったら、一部は出金するなどしてリアルマネーに変えていきましょう。
誰しもトレードでミスをすることはあります。
時には感情的なトレードをしてしまったり、時にはトレードルールを守れなかったりして、それまでため込んだ利益を全て吐き出してしまっては、それまでのトレードが全て水の泡となってしまいます。
そうならないためにも、一定額の利益を得ることが出来たら、適宜出金して利益を確定していく事もリスク分散の面からも重要です。
12. 小さな利益を狙ったトレードはしない
値動きの小さいレンジや、トレンドで伸び切ったところなどでは、利益を取ろうと思ってトレードしても取れる利益は僅かなので、そういったところでは無理にトレードしない方がいいでしょう。
13. ナンピントレードはしない
ナンピントレードは、基本的には大きなトレンドに逆らっているという事になります。
トレンドフォローを基本にするのであれば、ナンピンはルール違反のトレードとなるでしょう。
ナンピンって何?という方は、以下の記事をご覧ください。
→ 【FX】ナンピンとは?ナンピンのリスクとドルコスト平均法との違い
14. 耐えて待ち、焦らない
「FXは待つのが仕事」とよく言われます。
エントリーも、決済も、焦らずにしっかりとテクニカル分析を行い、エントリーや決済ができる形やレートになるまで待ちましょう。
15. 小さな利益と大きな損失は避ける
「損小利大」を意識して、大きな損失をしないようにしっかりと損切りすることはもちろん、利益についても小さな利益を狙うのではなく、大きな利益を狙ったトレードをしましょう。
16. ストップロスはキャンセルしない
損失を確定したくないという気持ちが働き、損切ラインを不利な方に動かしたり、損切設定を取消すことをしてしまう人もいます。
しかし、損切幅を大きくしてしまうことは、「利小損大」になりかねませんので、ルールに則って設定した損切ラインを取消したり、不利な方向に動かしたりするのはやめましょう。
17. 頻繁に売買することは避ける
頻繁にトレードをしていると、徐々にトレードにのめり込んでしまい、エントリーありきの思考に陥りがちです。
一歩引いて客観的にチャート分析するためにも、ポジポジ病にならないように気を付けましょう。
ポジポジ病になってしまった場合の対処方法は以下の記事をご参考ください。
→ 【FX】ポジポジ病は治らない?克服するためにやるべきことと工夫
18. 買いだけでなく、売りから入るエントリーも有効に活用する
上昇トレンドだけでなく、下降トレンドもチャンスはありますよという事ですが、空売りになる株とは違って、FXの場合は普段からショートエントリーも意識していると思いますので、特に問題ないでしょう。
19. 高いから売る、安いから買うという理由だけのトレードはしない
値ごろ感でのトレードはしてはいけないという事です。
自分の得意のエントリーパターンが来るまでしっかりと待ちましょう。
20. 間違ったタイミングでピラミッティングを行わないように気を付け、レジスタンス、サポートを抜けてからピラミッティングする
トレンドの頂点になる可能性のあるところでピラミッティングをしてもしょうがないので、ピラミッティングするのであれば、レジスタンスやサポートを抜けて、トレンドが継続する可能性が高い状態でピラミッティングしましょう。
ピラミッティングの詳細については、以下の記事をご覧ください。
→ FXトレード手法「ピラミッティング」とは?ナンピンとの違いも解説
21. ピラミッティングは明確なトレンドがある時だけ行う
ピラミッティングは、一度のトレンドで大きな利益を上げるには有効なトレード手法ですが、ポジションを積み上げていくにしたがって平均取得単価が自分にとって不利な方向に動きますので、トレンドが継続していかないとすぐに利益が減ってしまい、場合によっては含み損に変わってしまいます。
ポジションの増やし方をどのように増やしていくかもそうですが、そもそも明確なトレンドが出ていない時にピラミッティングは行うべきではありません。
22. 損失をヘッジするための両建てを行うのではなく、損切りする
これは、基本的には株式相場についてのことですが、FXに当てはめると、例えばドル円をロングしたが円高方向に動きそうなのでユロ円をショートするというようなニュアンスです。
上記の例の場合は、ドル円は下降トレンドに入っている可能性が高いので、ユロ円でヘッジするのではなく、ドル円を損切りして仕切り直した方がいいでしょう。
また、FX会社によっては、同じ通貨で両建てのポジションを保有できますが、両建ては意味がないので一度損切りして新たにエントリーを考えた方がいいでしょう。
23. 明確な根拠なくポジションの変更は行わない
一旦ルールに従ってポジションを保有したら、明確な理由もないのに決済したり、ドテンエントリーなどはしてはいけないという事です。
24. 長い期間のトレードや利益が出た後は取引量を増やさない
利益が出たトレードの後に勢いに任せてポジションサイズを増やしたりするのはやめましょう。
利益が出た後はすぐに次のトレードに移るのではなく、一息ついて心を落ち着けてから次のトレードに臨んだ方がいいでしょう。
25. 相場の天底を予想しようとしない
相場の格言で「頭と尻尾はくれてやれ」という言葉があるように、相場の天底は後から見て分かるもので、その時にここが天井だ又は底だというのは誰にも予想できません。
仮に予想して当たっても、それで一喜一憂するのではなく、明確なトレンド転換シグナルが出るまで待った方がいいでしょう。
26. 自分よりも知識のない人のアドバイスでトレードの判断をしない
トレードの全責任は自分にあります。
あの人がこう言ったからとか、アナリストの為替予想がこうだからなどを理由にトレードするのではなく、自分で考えて自分で判断しましょう。
しかし、身近にいる自分よりもトレードについて詳しい常勝トレーダーのアドバイスは聞いた方がいいでしょう。
27. 最初の損切り後は取引量を減らし増やさない
損失を出した後、その損失を取り戻すためにポジションサイズを増やすのではなく、逆にポジションサイズを減らしましょう。
負けトレードを引きずらずに、一旦仕切り直すことが重要です。
28. 間違ったエントリーと決済は避けた方がいいし、正しいエントリーと間違った決済もしない
どこでエントリーするかということばかりに目が行きがちですが、エントリーが正しくても決済が間違っていたら、その一連のトレードは間違いです。
決済する時も、しっかりとルールを守ってトレードしましょう。
ギャンのチャート描画ツール
W.D.ギャンは、相場を分析するのに時間と価格の関係に注目しています。
チャート描画ツールの中にも、ギャンが生み出したツールがいくつかありますので、その中でも代表的な2つを説明します。
使い方については私自身も研究中のところもありますので、基本的な部分のみお伝えします。
ギャン・ファン
ギャンのチャート描画ツールの中で最もメジャーなのがこの「ギャン・ファン」で、最も重要となる1×1のラインに対して、角度の違う複数本のラインが自動的に引かれます。
1×1のラインよりも価格が上にある時は強気相場、下にある時は弱気相場と捉えます。
時間軸1に対して価格1で動く1×1のラインが角度45度で表示され、以下のラインを含め合計9本のラインが表示されます。
- 1×8(82.5度)
- 1×4(75度)
- 1×3(71.25度)
- 1×2(63.75度)
- 1×1(45度)
- 2×1(26.25度)
- 3×1(18.75度)
- 4×1(15度)
- 8×1(7.5度)
1×1のラインとは、時間軸1に対して値動き1の比率で引くラインになり、1:1の関係から角度が45度になるラインですが、必ずしもチャート上での見た目が45度になる訳ではなく、1本の時間軸に対して、どの位の価格が変動するかを自分で設定するか、若しくは主要なトレンドの起点と終点に合わせてラインを引きます。
1×1のラインを設定すると、他のラインが自動的に表示され、各ラインがサポートライン、レジスタンスラインの役割を果たします。
ギャン・グリッド
「ギャン・グリッド」は、トレンドの強さを見るのに使います。
ギャン・ファン同様、1×1のラインを中心に、自動で複数本のチャネルラインと逆方向に交差するトレンドラインが自動で引かれます。
トレンドはこのひし形のチャネルに沿って動くことが多く、1つのひし形の中には17本のローソク足が入るのが基本で、ラインが交わるポイントは意識されやすいポイントです。
イメージとしては、チャネルラインに近いです。
→ 【FX】チャネルラインとは?チャネルラインの引き方と使い方
ギャン理論まとめ
ギャン理論についてまとめると、以下のようになります。
- エントリーも、決済も、ルールに従って焦らずにトレードする
- 分からない時は相場から離れる
- ポジションサイズに注意し、負けを取り戻すためにポジションサイズを上げることはしない
- 損切り設定は必ず行い、損切りラインは自分にとってプラスになる方向にのみ動かす
- 「損小利大」を心掛ける
ギャン理論は難しい理論ではありますが、とても有効な理論であると言われています。
詳しく学びたい方は、以下のような専門書を読み込むことをお勧めします。
以上、ご参考ください。