「ダウ理論」とは?FXテクニカル分析で重要な理論を解説!

FXテクニカル分析
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FXのテクニカル分析について勉強していると、「ダウ理論」という言葉をよく耳にするかと思います。

しかし、「ダウ理論」とは一体何なのかをきちんと説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。

この記事では、FXでテクニカル分析をするにあたって、とても重要な「ダウ理論」について以下のような疑問や悩みに応えられるよう、詳しく説明しています。

  • ダウ理論」という言葉は知っているが、内容がよく分からない
  • ダウ理論」をFXトレードにどう活かせばいいのか分からない
  • ダウ理論」がどうなったらトレンドが転換するのかを知りたい

もともとは、株式相場について提唱された理論ですので、全てがFXに当てはまるわけではありませんが、「ダウ理論」を理解することにより、値動きの基本を知ることができます。

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「ダウ理論」とは?FXチャート分析の基本理論

「ダウ理論」はFXトレードを行うに当たって、最も基本となる重要な理論になります。

多くのトレーダーが相場分析を行う際に参考にしている理論ですので、是非概要だけでも掴んで日々のトレードに活かしてください。

「ダウ理論」は、ジャーナリストで証券アナリストのチャールズ・ダウ氏が提唱したため、「ダウ理論」と言われており、チャールズ・ダウ氏は「ダウ工業株30種平均」いわゆる「ニューヨークダウ」の考案にも関わっています。

「ダウ理論」は以下の6つの基本原則で構成されています。

  1. 平均価格は全ての事象を織り込む
  2. トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される
  3. 主要トレンドは3段階から形成される
  4. 平均価格は相互に確認されなければならない
  5. トレンドは出来高でも確認されなければならない
  6. トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する

これだけだと、何のことかさっぱり分からないと思いますので、1つずつ見ていきたいと思います。

1. 平均価格は全ての事象を織り込む

「ダウ理論」1番目の基本原則「価格は全ての事象を織り込む」ですが、市場価格は各国の経済成長率や失業率、物価上昇率や社会情勢など様々な要因で値が動きますが、それらの事象は全て価格に反映されているということです。

つまり、テクニカル分析をしっかりと行うことが、ファンダメンタルズなど様々な要因を含んだ分析にもなるということになります。

2. トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される

「ダウ理論」2番目の基本原則は「トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される」です。

個人的にはチャート分析の基本を理解する上で、この2番目の原則は非常に重要だと思っております。

まず、トレンドとはどのような状況を言うのでしょうか?

上昇トレンドであれば、下図のように安値切り上げ高値切り上げた状態を言い、下降トレンドはその逆で安値切り下げ高値切り下げた状態を言います。

図1

これらのトレンドには短期トレンド中期トレンド長期トレンドがあり、上位足のトレンドの調整局面では、その下位足でのトレンド逆の方向を向くことがあります。

下図2で描かれているように、赤のラインの中期足の波は、黒のラインの短期足の波から構成されています。

更には、長期足の波も同じように短期足、中期足の波から構成されます。

図2

赤〇で囲まれた部分は黒のラインの短期足の波で見ると下降トレンドですが、赤のラインの中期足の波で見ると上昇トレンドの押しを作っている調整局面であることが分かります。

つまり、トレードをするに当たって長期的には現在どの地点にいて、その中で自分はどれ位の値幅を狙ってどの時間足を軸にトレードするのかをしっかりと認識した上で行わないと、高値でのロングポジションや安値でのショートポジションを掴まされる原因にもなります。

非常に重要なポイントだと思いますので繰り返し述べますが、トレードをするに当たっては、長期足での相場背景をしっかりと認識した上で、その中で中期足や短期足でどのようなトレードをしていくか、しっかりとイメージを持ってからエントリーすることをお勧めします。

このような短期・中期・長期の波を組み合わせてチャート分析を行う方法を「マルチタイムフレーム分析」と言い、以下の記事で分析方法について詳しく説明しています。

3. 主要トレンドは3段階から形成される

「ダウ理論」3番目の基本原則は「主要トレンドは3段階から形成される」です。

主要トレンドは、先行期追随期利食い期の3つの段階に分けられるとされています。

先行期

例えば下降トレンドから上昇トレンドに変わるとき、先行期では一部のトレーダーが底値で買いを入れ始め緩やかに上昇を始めます。

この先行期ではそれまで続いていた下降トレンドの継続を期待して売りポジションを持つトレーダーもいると思いますので、売り買い両者の思惑が交錯するため、じわじわと上昇に転じるといったイメージです。

追随期

その後、徐々に売り方が諦め始めると追随期に入り、明確な上昇トレンドが発生し、様子を見ていたトレーダー達も参入し、一気にトレンドは加速します。

利食い期

やがてトレンドが利食い期になると、初心者トレーダー達が参加し始め、更に価格は上昇しますが、一方で先行期で買いポジションを仕込んだトレーダー達は利益を確定し始めます。

例えば株式相場などの場合、メディアによる連日の高値更新などの報道が過熱し、それを見た初心者トレーダー達が参加し始めるといったイメージです。

しかしトレンドは間もなく終焉を迎え、やがて転換していきます。

この考え方は、「エリオット波動理論」にも通ずるところがあります。

「エリオット波動」って何?と言う方は、以下の記事をどうぞ。

先行期では短期足を基準にトレードしていると振るい落とされることも多いので、中長期足を基準に大きな目線でトレードする方がいいと思います。

また、追随期では深い押しを待っていると置いて行かれがちですので、短期足のトレンドを利用して積極的にエントリーしていった方がいいかと思います。

利食い期では、できればエントリーせずに今後の成り行きを見守りながら次のトレンドに備えるのがベストですが、エントリーするのであれば、損切も浅く置いて短期足で細かく利食いしていくのがベストです。

4. 平均価格は相互に確認されなければならない

「ダウ理論」4番目の基本原則は「平均価格は相互に確認されなければならない」です。

主に株式相場に関する原則で、似たような業種の銘柄がどちらも同じようなトレンドを作ることにより明確なトレンドが確認できるということです。

5. トレンドは出来高でも確認されなければならない

「ダウ理論」5番目の基本原則は「トレンドは出来高でも確認されなければならない」です。

出来高を伴ったトレンドこそ明確なトレンドであるということで、大きなトレンドが出る時は出来高も増えて然るべきです。

出来高が減少してきたらトレンドが終わる兆候として捉えることもできます。

しかし、外国為替市場は世界中で取引されており、1日に約7兆ドルの取引がある言われています。

それに対し、株式取引は、例えば東京証券取引所での取引高は1日に約3億円となっており、ドルと円で単位が違いますが、約200倍以上の取引量の差があります。

株式相場と違い、限られた通貨ペアで世界的に取引されているFXの世界では、この「トレンドは出来高でも確認されなければならない」の項目については当てはめづらいかと思います。

6. トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する

「ダウ理論」6番目の基本原則は「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」です。

トレンドとは、2番目の基本原則の項目でも説明したように、上昇トレンドであれば高値・安値が切り上がり、下降トレンドであれば高値・安値が切り下がっている状態を言います。

この高値・安値の切り上げ・切り下げが転換するまでトレンドは継続します。

図で示すと以下のようになります。

図3

今まで上昇トレンドで来ていたものが高値・安値共に切り下げはじめトレンドが転換しているのが分かるかと思います。

しかし、2番目の基本原則「トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される」でも説明したように、実際のチャートは複数の時間足から見て取れるトレンドが折り重なって形成されています。

例えば下図のような場合はどうでしょう?上図と似ていますが、果たしてトレンドの転換と言えるでしょうか?

図4

この場合は、小さな波では下降トレンドですが、今までの上昇トレンドを作ってきた波のサイズとは大きさが違います。

短期足のトレンドの転換シグナルが出たからと言って目線を切り替えてしまうと、中期・長期の目線では逆張りになってしまうなんてこともありますので気を付けてください。

「ダウ理論」まとめ

FXトレードを行うに当たってチャート分析の考え方の基本となる「ダウ理論」についてまとめると以下のようになります。

  • 「ダウ理論」は6つの基本原則から構成されている
  • 上昇トレンドとは、高値・安値共に切り上げ、下降トレンドとは高値・安値共に切り下げているものを言う
  • トレンドには短期・中期・長期の波があり、それらが折り重なって構成されている
  • 短期の波では下降でも、中期・長期の波では上昇トレンドの調整局面ということもあるので注意

株式相場について提唱された理論ですので、FXトレードには当てはめづらい部分もありますが、「ダウ理論」6つの基本原則は、そのいずれもが今日においても大切な考え方となっています。

皆さんも、「ダウ理論」について、実際に過去チャートなどを見て確認してみてください。

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