ナンピン
保有しているポジションが含み損を抱えている時に増し玉し、平均取得単価を下げるトレード手法
FXのトレード手法には様々な手法がありますが、その中の1つとしてナンピンというトレード手法があります。
- ナンピンとは何か知りたい
- ナンピンのメリットとデメリットは?
- ナンピンはいつ行えばいい?
- ナンピンとドルコスト平均法の違いは?
ナンピンは計画的に行う必要があります。
漠然とナンピンすると一気に含み損が広がり、一歩間違えると強制ロスカットにもつながりやすいトレード手法ですので、初心者の方が取り組むには危険な手法とも言えます。
FXトレード手法「ナンピン」とは?
ナンピンとは、保有しているポジションが含み損を抱えている時に増し玉し、平均取得単価を下げるトレード手法です。
例えば、ドル円を105円で1万通貨ロングした後に、レートが103円まで下がると、含み損を2万円抱えることになります。
このままだと105円までレートが戻らないと含み損がなくなりませんが、103円の時にもう1万通貨買い増しすることにより、平均取得単価が104円になりますので、レートが104円まで戻れば含み損はなくなります。
これだけ聞くと、ナンピンはとても素晴らしい戦略だと思う方もいるかも知れませんが、思った通りになるほど相場は甘くはありません。
増し玉のタイミングを間違えたり、資金管理を怠ったりすると、含み損がどんどん膨らんでいき、強制ロスカットになる可能性も高くなります。
ナンピンのメリットとデメリット
ナンピンのメリット
ナンピンのメリットは、平均取得単価を下げることができるため、初めに保有したポジションを持ち続けているよりも、含み損がなくなるのが早い点です。
ロスカットして損失を確定させるのが抵抗ある人にとって、早く含み損がなくなって欲しいという気持ちは強いかと思います。
それがナンピンすることにより含み損がなくなる期間が短くて済みますので、資金量さえ豊富にあれば精神的な負担は軽くなります。
また、自分が予想した方向にレートが動いたときには早く含み損を解消できるとともに、更にそこからレートが伸びたときには、ポジションを増やしている分、大きな利益を得ることもできます。
ナンピンのデメリット
ナンピンのデメリットは、増し玉をした後にレートが逆行すると、含み損が加速的に広がっていくことです。
増し玉の判断を見誤ると一気に含み損が広がり強制ロスカットにも繋がりやすいので、しっかりとテクニカル分析を行い相場状況を判断できる、中級者から上級者向けのトレード手法とも言えます。
そして、ナンピンはロスカットするときには損失額がとても膨らんだ状態でロスカットすることになりますので、勝率は高くなったとしてもリスクリワード比率が低くなる傾向がありますので、その点注意が必要です。
ナンピンのもう一つのデメリットは、決済するまでの期間が長くなり、ポジションを一定期間塩漬けにしなくてはいけないため、長期間資金が拘束される点です。
より有効的な投資に資金を回すことができなくなるため、FXでナンピンを行うのにどれ位の資金を投入するかをしっかりと考えた上で実行する必要があります。
ナンピンと資金管理
ナンピントレードをするには、資金管理が非常に重要となります。
最初からレバレッジの高いトレードをしていては、ナンピンする間もなくすぐに強制ロスカットとなってしまいますので、自分が用意できる資金量と、どれ位レートが逆行しても耐えられるのかを見極め、最初に持つポジションは極力レバレッジを下げて、計画的に増し玉をしていく必要があります。
最初のポジションを持つレートとロスカットラインを定め、その間に何回増し玉をし、全てロスカットになった場合はいくらの損失が発生するのかを確認するなど、あらかじめ一連のナンピントレードの計画を立ててから臨んだ方がいいでしょう。
ナンピンの注意点
ナンピントレードで失敗しないためには、以下の点に注意して計画を立てる必要があります。
トレンドに逆らったナンピンはしない
ナンピントレードは、失敗すると含み損がどんどん膨らんでいきますので、トレンドと逆方向に増し玉をすることは極力避けなくてはいけません。
できれば、トレンドに順行する方向、またはレンジ相場の時に限ってナンピンするようにした方がいいです。
もし、トレンドに逆らった方向のポジションを持っているようであれば、無理にナンピンせずに一度損切りして仕切り直した方がいいでしょう。
増し玉は計画的に行う
増し玉は漠然と行うのではなく、自分の中でルールを決めて行う必要があります。
pips数で何pips逆行したら増し玉するとか、水平線を目安に管理して、この水平線まできたら増し玉するなどです。
例えば、フィボナッチ・リトレースメントなどを使い、50%や61.8%のラインまで来たら増し玉をするなど、その時の相場状況次第ではありますが、前もって増し玉をするポイントを決めておきましょう。
いずれにしろ、増し玉をするには、自分にとって有利なレートになるまで待つ必要があります。
損切りルールを決めておく
資金量にもよりますが、ナンピントレードは無限に行えるものではありません。
ある程度、許容できる損失額を超えるか、このレートを超えたら損切りするなど、あらかじめ損切りポイントを決めておく必要があります。
一番避けなくてはならないのが、ポジションを増やしすぎることによる強制ロスカットですので、1回のナンピントレードに固執せずに、ある程度のところでロスカットして仕切り直すことも重要です。
スワップポイントの確認
ナンピントレードはポジションの保有期間が長くなりがちです。
スワップポイントを支払うポジションを保有すると、少額であったとしても、スワップポイントの支払いが精神的に負担になる人もいるかと思います。
そのため、スワップポイントをもらえる方向に限定した戦略とするのも1つの方法です。
しかし、高金利通貨と言われるトルコリラや南アフリカランドなどは、インフレリスクなどから長期的に見ると円高方向に進んでいる通貨のため、ナンピントレード戦略はあまりおすすめできません。
→詳しくは「【FX】スワップポイントとは?分かりやすく解説」をご覧ください。
ナンピンとドルコスト平均法の違い
ナンピンに似た手法で「ドルコスト平均法」という手法があります。
この2つの違いは、ナンピンは、平均取得単価を下げるために含み損を抱えている時に増し玉をする手法であるのに対して、ドルコスト平均法は、含み損を抱えていようが、含み益を抱えていようが、定期的に定額投資を行い、増し玉をする手法です。
現物投資の株であれば、ナンピンよりもドルコスト平均法の方が初心者の方にとっては安全だと思いますが、レバレッジをかけることができるFXの場合は、どちらにしてもリスクは高い手法だと思います。
ナンピンまとめ
ナンピンについてまとめると以下のようになります。
- ナンピンとは、含み損を抱えているポジションに増し玉をし、平均取得単価を下げるトレード手法である。
- ナンピンをうまく行えば、建値に戻る期間は短くなり、更に伸びれば大きな利益も狙える
- トレンドに逆行するナンピンは含み損が加速的に増す危険性がある
相場格言で「下手なナンピンすかんぴん」という言葉があるように、相場分析がしっかりとできていないようであれば、ナンピンで増し玉するよりも、一度ロスカットして再度エントリーを考えるのが基本戦略となります。
ナンピンはその辺りを理解した上で慎重に行うようにしましょう。
以上、ご参考ください。