この記事をご覧になっている方の中には初心者の方も多いとは思いますが、チャート分析をする時に、以下のようなことに心当たりはありませんでしょうか?
- チャートを4分割で表示させているが、何となく眺めているだけになってしまっている
- 1時間足が重要だと聞いたので、1時間足だけ見てトレードしている
- 大きい時間足から見ているつもりでも、結局5分足に振り回されている
- 大きい時間足を見る時、上か下かの方向性だけしか見てない
このような状況になっている方は、「マルチタイムフレーム分析」がしっかりと出来ていない方です。
私自身も初心者の頃は、各時間足の見方が連動しておらず、日足は上、4時間足も上、程度の環境認識しかできていませんでしたが、繰り返し練習していくうちに、環境認識のやり方が大分細かく見れるようになってきました。
今回の記事では、「マルチタイムフレーム分析」についての基本から、初心者の方が見落としがちな具体的な分析のポイントまでしっかりと解説していますので、是非ご参考ください。
マルチタイムフレーム分析は、裁量トレードで勝つには必須のスキルで、これが出来ていないと初心者レベルから抜け出せない位重要なものになりますので、何度も繰り返し練習し、意識しなくてもできるようになるまで身に付けてください。
マルチタイムフレーム分析とは?
「マルチタイムフレーム分析」とは、複数の時間足を用いてトレード戦略を練るもので、現在地点を地図を見ながら確認していく作業に似ています。
この考え方ができるようになると、チャートの見え方が一気に変わってきます。
マルチタイムフレーム分析の基本
「マルチタイムフレーム分析」について知る上で基本的な考え方として、各時間足のチャートの関係性をしっかりと理解している必要があります。
まず最初に理解して欲しいことは、大きな時間足の中には、小さな時間足の波が内包されているということです。
例えば、下図のように、赤い中期足の波の中には、黒い短期足の波が内包されています。
つまり、中期足のローソク足1本分の中には、短期足のローソク足複数本分が隠れているという訳です。
日足、4時間足、1時間足、15分足、5分足など、トレードスタイルなどによって見る時間足は人それぞれ違うと思いますが、これらの各時間足は、上位の時間足を拡大したものだと理解してください。
そのため、大きな時間足から順番に見ていくことにより、現在のレートがどこにあるのかの位置関係を、より正確に把握して最終的なトレードを行うのが「マルチタイムフレーム分析」になります。
マルチタイムフレーム分析を行う手順
「マルチタイムフレーム分析」を行うには、自分のトレードスタイルにより見る時間足は変わってきます。
スキャルピングなのか、デイトレードなのか、スイングトレードなのか、などですが、一番重要なのは、最終的にどの時間足でエントリータイミングを取るかです。
スキャルとデイトレ、デイトレとスイングなどは明確な線引きが難しく、デイトレメインのトレーダーでも、持つポジションによっては数分で決済することもありますし、1日以上持つこともあります。
決済については、決済ラインまで動くのに、どれ位時間がかかったのかは結果論でしかありませんので、重要なのは自分がエントリータイミングを取る時間足を決めるということです。
最終的にタイミングを取る時間足が小さくなれば小さくなるほどトレードの難易度は高くなりますので、初心者の方は、見たとしても5分足~15分足位までの時間足でタイミングを取ることをお勧めします。
チャート分析が十分にできないうちから1分足まで見始めると、方向感が分からなくなり混乱してトレードが崩壊します。
いずれにせよ、「マルチタイムフレーム分析」は、必ず大きい時間足から行ってください。
大きい時間足から見て、現在レートがどの地点にいて、どちらの方向に進もうとしているのかを確認し、エントリーできる場所まで来たと思ったら、最終的にタイミングを取る時間足を見てエントリーポイントを判断します。
- エントリータイミングを取る時間足を決める
- 自分のトレードスタイルに合わせた時間足を選択する
- 大きい時間足から現在位置を確認していく
- 大きい時間足でエントリーできるポイントに来ていることを確認する
- 自分のトレードスタイルに合わせた時間足でエントリーポイントを探る
これだけだと、分かりづらいと思いますので、次に具体例を挙げて説明していきます。
マルチタイムフレーム分析具体的例
実際に、マルチタイムフレーム分析のやり方を具体例を用いながら説明します。
今回の事例の場合は、デイトレード中心のトレーダーが15分足でタイミングを取ってエントリーするまでの考え方を「マルチタイムフレーム分析」を用いて説明します。
1.長期足で環境認識を行い方向性を見る
まずは、日足などの長期足で環境認識を行い、方向性を定めます。
今回は15分足でエントリータイミングを取るトレーダーを例に取って説明しますので、日足チャートからの環境認識でも十分ですが、もう少し大きい時間足でエントリータイミングを取るトレーダであれば、週足や月足から環境認識した方が望ましいです。
例えば、赤い四角で囲まれた付近でチャートを見ていたとします。
日足チャートから分かることは以下です。
- 大きな流れは上方向である
- 一度高値を付けて、押しを付けに来ている途中である
- 再度揉み合いの中に入り込んできているため、どこかでサポートされて上がっていくか、もう少し深い押しを付けに行くかといった状況である
日足などの長期足からは以上のようなことを把握します。
1の大きな流れの方向性を見るだけではなく、日足レベルでどの位置にレートがいて、どうなったら上がる可能性があるのか、どうなったら下がる可能性があるのかを確認します。
そして、次に4時間足などの中期足で、図の水色の四角で囲われた付近を詳しく見ていきます。
2.中期足でエントリーできる場所まで来ているかを見る
次に、4時間足や1時間足などの中期足でエントリーできる場所まで現在位置が来ているかどうかを確認します。
下図は、先ほどの日足チャートの水色の四角で囲ったところを4時間足で見たチャートになります。
4時間足で見ると、Aのポイントで引いた水平線でサポートされ反発するかどうかといったポイントに来ていることが分かります。
ここでサポートされ反転していくようであれば、一旦は上方向で攻めることができますので、この時点でタイミングさえ合えばエントリーできるポイントにいることが中期足で確認が取れます。
この4時間足から分かることは以下です。
- 高値から下落してきて、水平線に当たり、エントリーできる場所まで来ている
- ここでサポートされて上昇していくと上がる可能性がある
- 水平線での反発が弱いともう一段深い押しを付けに来る可能性がある
中期足を見る時に一番重要なのは、1番のエントリーできる場所まで来ているかどうかです。
レジスタンスライン、サポートラインをしっかりと見極め、その付近までレートがきているかどうかということです。
このレジサポ確認がしっかりとできていないと、短期足に落とし込んでエントリーポイントを探ったとしても、ダマシに終わる可能性は高くなり、結果として短期足に振り回されてしまいます。
そのため、中期足でエントリーできる場所まで来ていないと判断した場合は、短期足を見ずにもう少し待つことをお勧めします。
中上級者になると、押し目ポイントまでのショートを狙うなどの戦略も取れますが、最初のうちは難しいのでやめておいた方が無難です。
3.短期足でエントリータイミングを見る
最後に、15分足や5分足など自分がタイミングを取る基準足でエントリータイミングを見て実際にエントリーします。
下図は、先ほど4時間足で見たチャートの水色の四角で囲った部分を15分足で見たチャートになります。
4時間足で引いた水平線にサポートされ、ダブルボトムを作りネックラインを水色の〇印付近で上抜けてきたので、タイミングを計り短期水平線を使い、レジサポ転換してきたところで赤い上矢印付近でロングエントリーとします。
何度も言いますが、初心者のうちは短期足ばかり見ていると短期足に惑わされてしまいますので、最初のうちは短期足はすぐに見ずに、中長期足でエントリーできる場所まで来ていることが確認できたら短期足を見る方がいいかと思います。
マルチタイムフレーム分析まとめ
「マルチタイムフレーム分析」に付いてまとめると以下のようになります。
- マルチタイムフレーム分析は裁量トレードに必須のスキルである
- マルチタイムフレーム分析は自分がエントリータイミングを取る時間足によりみる時間足が変わる
- マルチタイムフレーム分析をする時は大きい時間足から見ていく
- 中長期足でエントリーできるポイントまで来てから短期足を見る
「マルチタイムフレーム分析」はとても重要な考え方ですし、今分かっているつもりでも、「こういうことだったんだ」と後から分かることは多々あります。
過去チャートなどを利用し何度も練習して、是非「マルチタイムフレーム分析」を習得してください。