FXで裁量トレードをしていると、テクニカル分析に関しての情報収集がメインとなり、どうしてもファンダメンタルズについての情報収集は後回しになりがちです。
しかし、金利は経済を見る上で非常に重要な要素なので、金利の基本的なことは知っておいて損はないと思います。
この記事では、以下のような「金利」に関する基本的な疑問点について、まとめて説明しています。
- 「短期金利」「長期金利」について知りたい
- 金利はなんで変動するの?
- 金利が変動するとどうなる?
- 金利が為替に与える影響は?
「短期金利」「長期金利」とは?
「短期金利」と「長期金利」の違いとして、基本的には「短期金利」は取引期間が1年未満の金融資産に対する金利を指し、政策金利の影響を強く受けます。
それに対し、「長期金利」は取引期間が1年以上の金融資産に対する金利を指し、政策金利の影響に加え、市場参加者の判断による将来的なインフレ予測や、市場の需要と供給のバランスなどで長期金利が決まります。
しかし、一般的に経済ニュースなどで言われるのは、「短期金利」は政策金利のことを指し、「長期金利」は10年物国債利回りのことを指しています。
基本的には短期金融資産に比べ、長期金融資産の方が不確定要素が大きくリスクもあるため、「短期金利」よりも「長期金利」の方が金利が高い傾向にありますが、景気後退時には、「短期金利」が「長期金利」を上回る「逆イールド」と呼ばれる現象が起こることもあります。
金利が変動する理由
「短期金利」が変動する理由
ここで言う「短期金利」とは、政策金利のことで、政策金利は各国の中央銀行が金融政策の一環で示します。
例えばアメリカの場合は、FOMCで中央銀行の中枢機関であるFRBが政策金利であるFF金利について発表します。
「短期金利」である政策金利は、景気後退時には金融緩和のため金利を引き下げ、景気過熱時には金融引き締めのため、金利を引き上げます。
「長期金利」が変動する理由
「長期金利」は需要と供給のバランスで決まるのですが、変動する理由としては、景気回復に対する期待や将来的なインフレ予測、金融政策に対する予想などで変動します。
また、長期金利は「経済の基礎体温」とも言われ、景気回復時には長期金利は上がり、景気後退時には長期金利は下がる傾向にあります。
金利が変動するとどうなるか
まず、金利が下がると、銀行が個人や企業にお金を貸し出す際に低金利で貸し出せるため、市場にお金が出回り経済が回り始めます。
これに伴い、物価の押上要因にもなり、物価上昇を引き起こします。
そのため、景気後退時には、中央銀行は金融緩和策として政策金利を引き下げ、市場にお金が出回るように調整をします。
逆に、金利が上がると、金融機関が個人や企業にお金を貸し出す際の金利が高くなるため、企業なども設備投資のための資金調達などを控え、経済活動が抑制され、景気の過熱が止まります。
そのため、景気過熱時には、中央銀行は金融引き締め策として政策金利を引き上げ、経済活動を抑制するように調整をします。
このように、中央銀行が金利を操作することにより、景気の調整を行っています。
そして、金利の変動は株価や債券価格にも影響を与えます。
基本的に、金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が下落すると債券価格は上昇します。
また、金利の上昇は、景気回復が見込まれている証ではあるのですが、リスク資産である株式よりも債券などの安産資産へ投資の対象が移ったりしますので、時として株価を押し下げる要因にもなり得ます。
実体経済と金利、債券価格、株価などは、密接に絡み合って連動してはいますが、変動時期にずれが生じますし、他の要因が絡み、セオリー通り動かないこともありますので、余計分かりづらいものとなっています。
金利が為替に与える影響
これまで、金利の基本について説明しましたが、FXに関係するところについても説明します。
金利がFXに直接的な影響を与える分かりやすい例で言うと、政策金利の発表は、指標発表時に市場予想と実際の結果に乖離があると、為替レートが大きく動くことがあります。
特にアメリカの政策金利発表の場でもあるFOMCは、注目度の高い重要な経済指標となっています。
FOMCについては、以下の記事で詳しく説明しています。
そして、2か国間の金利差が出てくると、金利の高い国にお金は流れます。
例えば、日本の金利に比べ、アメリカの金利が高ければ、アメリカの債券などを買う人も増えるため、日本円を売ってドルを買う流れになります。
もちろん、これだけで円安になるか円高になるかが決まるわけではないので、そう単純な話ではありませんが、基本的な考え方としては、円安ドル高の流れになります。
それでは、高金利通貨はどうでしょうか?
いわゆる、トルコリラや南アフリカランドなどの高金利通貨は、将来的なインフレリスクや地政学的リスクなども大きく、通貨としての信用性が先進国に比べて低いため、高金利ではありますが、将来的な通貨価値は今よりも下がると考えられ、長期的に見ると通貨価値は下がる傾向にあります。
実際に、以下の図のように、トルコリラや南アフリカランドの月足チャートを見ても、長い目で見ると値下がりしているのが分かるかと思います。
高金利通貨については、以下のスワップポイントに関する記事でも説明しています。
金利についてまとめ
「短期金利」「長期金利」についてまとめると以下のようになります。
- 「短期金利」は1年未満の金利、「長期金利」は1年以上の金利
- 一般的に言われる「短期金利」とは「政策金利」を指し、「長期金利」とは「10年国債利回り」を指す
- 中央銀行は景気後退時には金利を引き下げ、景気過熱時には金利を引き上げる
- 金利は経済を見る上で非常に重要な要素である
金利については、とても複雑で難しい話ですが、経済のことを見る上で基本となるとても重要な要素ですので、詳しく知りたい方は以下のような書籍などで勉強することをお勧めします。
以上、ご参考ください。