FXの損失繰越控除について調べていて、以下のような疑問や悩みをお持ちではありませんか?
- FXで通年で損失が出たら翌年の利益と通算することが出来ると聞いた
- FXで損失が出ても確定申告をした方がいいと聞いたことがあるけどなぜ?
- 株の損益とFXの損益を通算することはできる?
この記事では、FXで通年で損失が出た方が翌年以降に損失を繰り越す「損失繰越控除」について説明します。
FXの損失繰越控除とは?
FXの税制は、2011年12月31日までは利益の額に応じて税率が変動する「総合課税」が適用されていましたが、2012年1月1日から一定の税率である「申告分離課税」の適用となり、2012年の損失分から「損失繰越控除」ができるようになりました。
FXにかかる税金は?
FXで得た利益は申告分離課税の適用となり、利益に対して所得税・復興所得税・地方税を合わせて20.315%の税金がかかります。
課税対象となるのは、決済して得た利益とスワップポイントが対象となり、スワップポイントについては、未決済ポジションのスワップポイントであれば、最終的に確定していない場合は課税対象となりませんが、ポジションが未決済でもスワップポイントを受け取った場合は課税対象となります。
FXで20万円以上の利益が出ていなければ確定申告しなくていいなどの情報をどこかで聞いたことがある方も多いかと思いますが、厳密には、給与所得が2000万円以下の年末調整されているサラリーマンの場合、FXの利益が給与所得以外の所得と合計して年間20万円以下の場合は確定申告をする義務はありません。
しかし、FXの損益が年間でマイナスだった場合は、確定申告することにより、損失を翌年以降に繰り越し、翌年以降3年間分の利益と相殺できる制度があります。
FXの損失繰越控除とは?
FXの損失繰越控除とは、FXで通年で損失が出た場合に確定申告をすることにより、翌年以降3年間に渡って利益と相殺し、節税することが出来る制度で、正確には「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」と表現されます。
例えば、1年目で50万円損失が出で、2年目で30万円の利益が出た場合、損失繰越控除をしていない場合は2年目に出た30万円の利益に対して20.315%の税金がかかるため、60,945円の税金がかかりますが、1年目に損失繰越控除をしていると、1年目と2年目の損益が通算されて計算されますので、2年目の利益30万円については税金がかからなくなります。
それでは、複数社で取引をしている場合はどうなるかと言うと、その損益も通算するようになります。
例えばA社の口座では利益が出ているが、B社の口座では損失が出ている場合は、両社の合算で確定申告することになります。
また、損失繰越控除は最大3年間繰り越すことができますので、1年目で50万円負けて、2年目も30万円負け、3年目で80万円勝った場合は、損失繰越控除をしていれば3年目の80万円には税金がかからない計算になります。
損失が出た場合に確定申告をする義務はありませんが、損失繰越控除の確定申告をすることにより、翌年以降の節税に繋がる可能性がありますので、面倒くさがらずに確定申告することをお勧めします。
FXの損失繰越控除の注意点
FXの損失繰越控除の注意点としては、損失を繰り越すことが出来る期間中は毎年確定申告をする必要があるという点です。
つまり、マイナスが出た翌年だけ確定申告をすればいいのではなく、繰り越すことが出来る間は、例えトレードをしていなくても毎年確定申告をしなくては損失を繰り越すことができなくなりますのでご注意下さい。
また、あくまで「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」になりますので、他の先物取引に係る雑所得等の損益と通算することはできますが、先物取引に係る雑所得に当たらない株式取引の損益は通算することはできません。
FXの損失繰越控除をするには
FXの損失繰越控除をするには、損失が生じた年分の「所得税及び復興特別所得税の申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」及び「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を添付して確定申告書を提出する必要があります。
一見難しそうではありますが、web上の確定申告書作成コーナーで質問に答えて、必要事項を選択して金額等を打ち込んでいくだけで簡単に作成することが出来ます。
国税庁の確定申告作成コーナーは以下になります。
FXの損失繰越控除まとめ
FXの損失繰越控除についてまとめると、以下のようになります。
- FXで損失が出た場合は確定申告をする義務はないが、損失繰越控除をするには確定申告をする必要がある
- FXの損失繰越は3年間行う事ができる
- FXの損益と株式の損益を通算することはできない
FXで損失が発生した方は、是非「損失繰越控除」に挑戦してみて下さい。